東京高等裁判所 昭和36年(ネ)881号 判決
次に控訴人は、前認定の売買は新潟県知事の許可がないから無効であるだけでなく、農業を営む者でない被控訴人らが農地の所有権を取得することを目的とする契約で県知事の許可を受けることは法令上不可能であつたから、不能の事項を目的とする契約にあたり無効である旨主張する。
しかし、前認定から明らかなように、本件売買は右土地が土地区画整理の施行に伴い宅地となることを予想し農地でなくなつたとき所有権移転の効力を生ぜしめる趣旨の停止条件附売買であつたと解されるから、当時施行の農地調整法第四条第一項、第三項(昭和二十一年法律第四十二号による改正法)により無効となるべきものとは考えられず、また不能の事項を目的とする契約ともいえないこと明らかであり、右控訴人の主張は採用できない。
しかして昭和二十九年二月五日新潟県告示第百五号による新潟県施行の都市計画事業が実施され、本件土地は新新潟駅前土地区画整理地域に編入され右事業の施行に伴い昭和三十年四月一日地目の交換が行われ、その現況は農地でなくなつたことは当事者間に争がない。
従つて、本件売買に附された停止条件は成就し、右売買はその効力を生じたものといわなければならない。この点につき控訴人は、本件土地は土地区画整理の施行に伴い埋立てられ農地でなくなつているけれども、右農地の潰廃について新潟県知事の許可を得ていないので法律上依然農地というべきであると主張するけれども、右の経過で既に現況農地でなくなつた以上、その所有権の移転に知事の許可を要するものとは考えられないから右控訴人の主張は採用の限りでない。
(岡崎 室伏 安岡)